【短】親愛なる片想いに口づけを

莉珠のこと、最初は苦手だった。

派手で男癖悪いし、碌な噂を聞かなかったから。


でも告白を手伝うことになり、その姿を見ているうちに、目を覆っていたフィルターが取れた。


あまりにもまっすぐ恋をする君が悪い。


僕に、森瀬のことを語る莉珠。


莉珠が森瀬を見つめる隣で、俺はそんな莉珠に恋をしていた。


……だけど、告白はしない。


僕はあくまでも、協力者として必要とされてるから。


協力者が恋路の邪魔をするなんて、反則もいいところだ。

告白をしたら、この関係は終わる。


だからこんな想いは、見つからないようにそっと隠す。


僕は、不適合すぎる協力者だ。


だって莉珠の恋を応援してないのだから。


好きな子の幸せすら願ってやれない、最低な奴。


お願いだから、森瀬のものになるなよ。


この立場を利用させて。まだ隣にいさせて。