短編集 『アイデンティティ』
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 今日はなんて日だろう。
今日はとても幸運だった気がする。
 朝起きて、まだ暗かったがコンビニへ行こうとしたら、車に引かれかけた。
だが、ぎりぎりのところでなにかに押されて、助かった。
後ろを振り返っても、誰もいなかったが__。
一体、なにが助けてくれたんだろうか?
 人ではないのはたしかだ。
人間では出せないような、とても強い力で押された。
そして、自分の体は、異常なほどにうごかなかった。
まるで、足を凄い力で押さえ付けられているように、全く動かなかった。
自分でも、踏み出せなかった。
やはり、なにかおかしい。
 道路が怖くて、あそこにはもう近寄らないようにしている。
いくらなんでも怖すぎる。
助けてくれた奴に恩返しはしたいけど、そんなの、怖くてできない。
見れないものは、存在が不確かなものが、こわい。
自分も、こわい。
 海水浴は、とても楽しかった。
ユウキの使っている浮輪が、沖へ流されてしまったときは驚いた。
ハルキ兄さんが、猛スピードで沖へ、海面を滑るように泳いでいって、急いで取ってくれた。
あれはもう、人間技ではないだろう。
ハルキ兄さんは、運動能力がとても高く、いつでも1位を取るような人だった。
 それでも、ここ最近、格段に上がった。
この前いっていたが、『運命のパートナーができた。』とは、どういうことなんだろうか?
きっと、そのパートナーと、練習でもしているのだろう。
 ユウキが、シェイクを買ってくると、大張り切りで店に並んだ。
途中でコケてしまったが、そこら辺に転がっていた貝殻も、運よく刺さらなく、さらにシェイクも零れなかった。
最近、やはり、人間技ではないことが起きている。
一体なんなんだろうか__?
 今日は疲れたから、はやく寝る。

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