貪欲ジェラシー
貪欲ジェラシー
愛しすぎる愛の証し
きっと俺に、あいつを手放してやるほどの余裕なんてねえんだよ。
思った以上にあいつに依存して、別な奴と話してると…いらいらとして近よんじゃねえよなんて思ってる俺がいるんだ。
馬鹿みてえにお前のことしか好きでいられない俺って……。
「で…?なんで廉(れん)はそんなに機嫌が悪いの?」
ふうとため息をついて、廉のことを見てもう何分たったのだろうか。
「別に何でもねえし。お前こそなんなわけ?」
この男が機嫌が悪いのも…もう何時間だろうか。
しかもその理由は絶対にあたしに関係があるはずなのに、それすらも教えてくれないなんて。
イライラする…。
「何もないなら…そんなに機嫌悪くしないでよ。気になってしょうがないじゃん」
「……お前こそ、俺になんかないわけ?」
廉の猫のような細い目にキッと睨まれて、一瞬息をすることさえも忘れてしまう。
「由加里(ゆかり)こそ、俺に言う事ねえ訳?」
もう一度かみしめるように言われて、思わずきょとんとした顔を浮かべているだろうあたし。
言うことって…なに?
「…お前が気付くまで、由加里とは話さねえから」
あたしの目の前から踵を返して去っていく廉の姿が、すごく遠く見える。
なによ…。あたしが気付くってなに?
「長谷部(はせべ)。文化祭の打ち合わせなんだけどいい?」