支社長は取り扱い要注意!
この場に沈黙が流れる。

そんなことを言われたら黙ってしまうのが当然のことである。

「――凱」

沈黙を破るように、おじさんが俺の名前を呼んだ。

「何ですか?」

「少しだけ外に出て話をしようか?

彼らにも話しあう時間が必要だろうし」

そう言ったおじさんに、俺は返事をした。

おじさんと一緒に個室を出ると、
「それで、何で急に会社を継ぐことをやめようと思ったんだ?」
と、おじさんが聞いてきた。

「この前までは社長になるのも悪くないと言っていたヤツが何を思って心境を変えたんだ?」

「変えたって言うほどではないですけれども…」

俺はそこで言葉を区切ると、
「共に人生を歩んで生きたい人がいるんです」
と、言った。
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