支社長は取り扱い要注意!
おじさんはいつも俺に“えらい”と言って褒めてくれた。

いい意味でも悪い意味でも両親に放任されがちだった俺をおじさんは常に気にかけてくれていた。

テストで100点をとったり、リレーで1番になった時に褒めてくれるのはもちろんのこと、ご飯を食べただけでも泥んこになるまで遊んで帰ってきた時も、おじさんはいつも“えらい”と言って褒めてくれた。

そんなおじさんは俺の憧れでもあり、ヒーローだった。

「彼女が凱を変えてくれたんだな」

そう言ったおじさんに、
「高畑まひるって言うんだ」

俺が名前を言ったとたん、おじさんは驚いたと言うように目を見開いた。

「何だって?」

そう聞き返したおじさんに、俺は訳がわからなかった。

何か変なことを言ってしまっただろうか?

「お、おじさん?」

思わず聞き返した俺に、
「驚いたな、まさか『あけび亭』のお嬢さんだったなんて…」

おじさんは信じられないと言った様子だった。
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