支社長は取り扱い要注意!
「後3ヶ月で開店するために必要なお金が貯まるんです!

3ヶ月経ったら、バイトも会社も辞めます!

お願いですから見逃してください!」

頭を下げていることもあって、支社長がどんな顔でわたしを見下ろしているのかはわからない。

小会議室に重苦しい沈黙が流れる。

「――わかった」

その沈黙を破るように支社長が言った瞬間、わたしは顔をあげた。

「お前の言う通り、3ヶ月だけ見逃してやる」

そう言った支社長に、
「ありがとうございます!」

わたしはお礼を言って頭を下げた。

やったー!

鬼だと思ってたけど、意外にもいい人だったんだ!

何だ、事情を説明したらすぐにわかってくれたじゃん!

支社長、鬼だと言ってごめんなさい。

そう思っていたら、
「ただし…」

支社長が言った。
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