支社長は取り扱い要注意！
コンソメスープとサラダとオムライスをテーブルのうえに並べていたら、
「ただいまー」

支社長が帰ってきた。

「あっ、お帰りなさい。

ちょうど夕飯の用意ができたところだったんです」

スーツ姿でリビングに入ってきた支社長に、わたしは声をかけた。

「ほお、オムライスか…」

テーブルのうえのオムライスを見た支社長がそんなことを呟いた。

そんな反応をされたのは初めてだったので、
「もしかして…オムライス、お嫌いでしたか？」

わたしは聞いた。

「いや、嫌いではない。

ただオムライスに関してはちょっとこだわりがあってな」

支社長はそう言うとジャケットを脱ぐと、椅子にかけた。

「こだわり、ですか…？」

ケチャップじゃなくて、デミグラスソースの方がよかったかな？

でもお父さん直伝のオムライスはデミグラスソースではなく、ケチャップがかかっていた。
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