支社長は取り扱い要注意!
運転手に行き先を告げると、車が走り出した。

移り行く景色を窓から眺めていたら、
「飲み会、どうだった?」

支社長が声をかけてきた。

「はい、楽しめたと思います」

そう答えたわたしに、
「そうか」

支社長はフフッと笑った。

「ただ飲んで食べるだけじゃなかっただろ?」

「そうですね」

「参加者たちと話ができただろ?」

「できましたね」

「よかったな」

そう言った支社長がわたしの頭に向かって手を伸ばしたかと思ったら、ポンとそこに手を置いた。

「いい子だ」

支社長は笑って、わたしの頭をなでてきた。

「あ、はい…」

頭をなでられていることが照れくさくて、わたしは目を伏せた。
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