「先輩、甘えるってなんですか?」
その時、沙代の両親が仲良くないことが分かった。




薄々実乃里も気づき始めた。




だからその時に決めたルール。




俺の家に来る時はお邪魔しますじゃなくて、ただいま、おかえりと言うこと。





少しでも俺達の存在を近くに感じて欲しかったのかもしれない。




子供ながらそんなことを感じていた。





俺たちと遊ぶ時間が増えるとだんだんと心を開いてくれて、笑うようになった。




高校生になった今は俺に反抗することもあるし、冗談も言うし。





だから、それはいいんだけど。





俺は沙代の口癖が何より怖い。




「大丈夫」




本当は全然大丈夫じゃないくせに。




誰にも迷惑を掛けないように。




俺たちに悲しい顔をさせないために。




いつも沙代は自分のことより人のこと。




だから、なにか悩んでいる時は怖いんだ。





無茶して、ボロボロになって行くんじゃなかって。




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