「先輩、甘えるってなんですか?」
やっぱり、・・・・・くるみ先輩なのかな。




鳳駕の好きな人。




いや、もしかしたらもう両思いだよ。




あんなに楽しそうだもん。




また、しばらく忘れていた胸の痛みに気づく。




チクン、チクン、と私の胸を刺す。





いいなー。





笑えて、喜べて、楽しそうで、嬉しそうで、あったかそうで。





今、私が持っていないものをくるみ先輩は全部持っている。




そんなの、




かなうわけないじゃん。




当たり前だよ。





鳳駕が好きになるのも。




仲良く歩くふたりをじっと見ていた。




たんたんと、廊下を歩く音。




「沙代っ!!・・・・・・・今の見た?」




実乃里が遠慮がちに聞く。




私は実乃里の方を振り向いた。




「うん。・・・・・見たよ。」




そう言うと実乃里が私の近くまで歩いてきた。




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