「先輩、甘えるってなんですか?」
こんなことを言いたかったわけじゃない。




でも、口から出たことは本心。




お父さんはちょっと驚いた顔をしていたけど、私が何も言わないでいると、どうでもないような顔をして私を見る。





「・・・・・沙代、人は変わるんだよ。」




お父さんが、私に言いたかったことはそれだけ?





それだけなの?




親として、子供にそんなことしか言えないの?





「ずっと我慢の限界だったんだ。会社でも上手くいかないし、家に帰ってきたら喧嘩ばかり。耐えられなかった。ずっと我慢していたけど、・・・・・もう無理なんだよ。」





今更お情けなんて聞きたくない。





こんなに、情けないと思わなかった。




自分がこんな弱い、醜い、最低の奴の子供なんだと思うと悔しくてたまらない。




「・・・・・限界、我慢。そんなの、・・・私のセリフよっ!!ふざけるのも大概にしてよっ!!」





私がどんな思いで両親のことを見てたと思うの?




どんな思いで接していたと思ってるの?





千裕と公に見せないと、親のそんな姿見せたくないって、ずっと我慢して頑張ってきたのに。




最後まで、自分の事なの?




最悪。




「もういい。・・・・少しでも、昔みたいになんて期待した私がバカだった。早く、早くどっかに行ってよっ!!もう、終わり!!全部終わり!!」




お父さんにこんなに怒鳴ったのは初めてかもしれない。




でも、




嫌だった。




これ以上、お父さんを見ていられない。




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