「先輩、甘えるってなんですか?」
それが本音だった。





お父さんは何も言わずに、私の前から去った。




そして、車のエンジンをかけると、そのまま、・・・・・・・・行ってしまった。





最後まで、




私の言葉に答えてくれなかった。




何を期待したんだろう。




さっきまで。




結果は見えてた。




お父さんが居なくなるって分かってた。





でも、心のどこかで行くの止めるかなって思ってたのかもしれない。




私達のことを大事に思っている何かを期待していたのかもしれない。




それを見事に砕かれた。




私は息を切らして、その場に佇んでいた。




なんか、歩く気力も無くて、家のドアの前にしゃがみ込んだ。




「・・・・ははっ。私、・・・・・何したかったんだろう。」





不完全燃焼?




分からないけど、ただボーッとしていた。




何分、何時間そこにいたんだろう。




スマホを確認すると、夕方の6時。




冬なのに、寒さも忘れてずっと居たなんて。




それにしても人ってこんなに何も出来ずに座ってられるんだと思うほどここにいたみたい。




そろそろ中に入ろうと、ドアに手をかけた時。





「沙代?ここで何してるの?」





スーツ姿のお母さん。





何?




何してるのって、




「・・・・・・お父さん、行っちゃったけど。」





お母さんが言ったんじゃん。





手伝えって。




「あぁ、そう。行ったのね。」





・・・・・・・・・・・え?





それだけ・・・・・・・?





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