「先輩、甘えるってなんですか?」
何?




「それだけなの?言うこと。」




「え?他に何を言えっていうの?お互い愛してない人から離れられたんだからいいじゃない。これで清々したわ。」




お母さんが玄関で靴を脱ぎながら言う。





その時、




私の中で、プチンッと何かが切れた気がした。




「・・・・・・・あぁ。そっか。・・・・そうだよね。」





「え?何が?」




「・・・・・・・・お父さんも、お母さんも、お互いに嫌いなんだもんね。」





「沙代、どうした「どうしたのじゃないっ!!」





お母さんの声に被せるように私が言う。





「何が?何が、大丈夫なの?よく、・・・・よくそんなこと言えるよね!!私知ってるんだからねっ!!ふたりが私たちのこと邪魔だって思ってることも、お母さんが私達を預かったのをめんどくさいって思ってることも!!全部全部知ってるよ!!」




「ちょっ、沙代落ち着いて!何言ってるの?」




お母さんがちょっと焦ったように私に手を伸ばす。





私はその手を払い除けた。





「・・・・・2人とも、自分が1番大事だもんね。自分が1番可愛いもんね。・・・・・ふたりが、私の気持ち考えたことある?無いでしょ?私がどんな気持ちで2人と接してきたか、どんな思いでふたりの喧嘩を見てたのか、どんな思いで、千裕や公にその姿を見せないできたかっ!!娘の気持ちの一つも知らないで、何が大丈夫よっ!!ふざけないでっ!!」




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