「先輩、甘えるってなんですか?」
家の前で叫ぶ実乃里の手を引いて学校に向かって走り出す。




「全くー!何でずっと寝てんのよ!!」




「ごめんって!タイマーかけ忘れたんだから!!」




「もうそれはいいけどっ、紗代今日言うのっ!?」




「えっ!?何が!?」




実乃里が走るスピードを少し下げて私の隣にくる。




「だって、卒業式だよ!?お兄ちゃんに告白しないの!?」




実乃里の言葉に私の喉がきゅっと閉まる。




告白。





あっけなかった。




あれからなんとなく鳳駕と話すのに意識してしまって、




ぎこちない日々が過ぎた。




でも、鳳駕も鳳駕で忙しそうだったからあんまり話す機会がなかったから。





私は走っていた足を止めた。




「ん?紗代??」




実乃里が私の方を振り返る。




「実乃里。私、言ってなかったことがあるの。」




実乃里が私の方をじっと見る。





「・・・・・・・・私ね、クリスマスに鳳駕に告白したんだ。」





「えっ!?本当に!?」




ビックリして歩み寄ってくる実乃里。




私の肩に手を置いて私のことをキラキラした目で見る。




「じゃあ、「振られたの。」」




実乃里の言葉に自分の言葉を重ねた。




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