「先輩、甘えるってなんですか?」
堂々と歩いてくる。




その中でも一際目立つのはもちろん鳳駕。




綺麗な姿勢に私は普通に目を奪われた。





式の間ずっと鳳駕との思い出を思い返していた。




ついこの間のことも遠いことに思える。




でも、たくさん見た笑顔をこれから違う人が見ていくのだろうか。




私に見せる笑顔は幼なじみという肩書きがついて、でも鳳駕の彼女になる人は特別な笑顔を見れる。




その笑顔を私が見たいななんて、そんなわがままもう言っちゃっダメだ。




笑顔で私は、卒業おめでとうって言うんだ。





それを言って、ちゃんと諦めよう。




この気持ちを終わりにさせるんだ。




「卒業生代表、熊谷鳳駕!」




「はい!」



鳳駕の綺麗なまっすぐな声が体育館に響く。




上に立つ鳳駕を私は見つめた。




鳳駕が話し始めたと同時に私の目には涙が。





それに気づいた実乃里が私にハンカチを渡した。




私はニコッと笑ってハンカチを受け取った。




「ここで、大切な人に出会えたこと。親や、友達、先生方に感謝して、卒業生の言葉といたします。」










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