「先輩、甘えるってなんですか?」
涙目になりながら言うと、実乃里も笑った。




「でしょ?私、かっこよかったでしょ?」




「うん。めっちゃかっこよかった。」





二人で抱きしめ合いながら笑っていると、後ろから誰かが走ってくる音が聞こえた。




「沙代っ!?実乃里っ!?お前らどーした!?」




焦った顔の鳳駕がしゃがみこんで私達の顔を交互に見る。




「沙代、お前顔・・・・・・・」




「あはは。あの先輩に言い返したらビンタされちゃった。でも大丈夫。実乃里が助けてくれたから。」




「私も、沙代に助けてもらったから。」




私達がそう言うと、鳳駕が下を向いて何か独り言を言う。




「鳳駕?」




「実乃里、お前は怪我してないか?」




「うん。大丈夫。」




「そっか。じゃあ、沙代後ろに乗れ。」




「・・・・・えっ!?」




「いいから。お前、その足で歩けねぇだろ。」




自分の足を見たら微かに震えていた。




あれ?




自分では気づかなかった。




実乃里はいつの間にかちゃんと自分で立っている。




「沙代。私はもう大丈夫だから。お兄ちゃんの後ろに乗って。」




実乃里が私に言う。




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