「先輩、甘えるってなんですか?」
私はそっと鳳駕の肩に手を置いた。




鳳駕は私の脚をしっかり持っておんぶする。




「重くない?」




「大丈夫。実乃里、バッグ貸せ。」




「えっ、でもお兄ちゃん、」




「いいから。二人分寄越せ。」




実乃里が鳳駕に二人分のバッグを渡すと自分の肩にかけた。




私をおんぶして、荷物まで持って。




鳳駕は無言で歩いていく。




実乃里も何も言わずに隣を歩く。




鳳駕におんぶされたのなんて久しぶりすぎて変に緊張する。




家の前まで来ると、私の家じゃなく鳳駕の家に入る。




そして、リビングのソファーに優しく下ろされて鳳駕が救急セットを持ってきた。




「私、千裕と公のところに行ってくるね。」




実乃里がそう言って家から出ていく。




鳳駕は叩かれたところをハンカチで拭いて、氷を渡してくれた。



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