「先輩、甘えるってなんですか?」
「ありがと。」




何となく気まずくてお礼しか言えなかった。




「ん。」




鳳駕はそれだけ言って救急セットを置きに行った。




そして帰ってくると、私の隣に座った。




沈黙が嫌で話そうと鳳駕の方を振り向くと、腕をグイッと引かれた。




そして鳳駕に優しく抱きしめられる。




「え?鳳駕?」




「・・・・・・・・ごめん。沙代。本当にごめん。」




今まで聞いたことないくらい悲しい声をしていた。




「別に、叩かれたのは鳳駕のせいじゃないでしょ?私が言い返したのが悪いんだもん。」




「でも言い返したのって、俺が原因だろ?沙代が自分の事でそんなにカッとなることないし。」




そっと私から離れて、叩かれたところに触れた。




「痛いか?」




「ううん。今は大丈夫。」




「そっか。・・・・・・・大事なやつに怪我させて、俺は何やってんだよ。マジで有り得ない。情けない。」






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