「先輩、甘えるってなんですか?」
人にどうやって助けを求めたらいいの?




私が困らせるだけだ。




人に迷惑を掛けたくない。




「私のことで誰かが悩んで欲しくない。」





私がそう言うと、鳳駕はため息をついた。




「・・・・じゃあ、分かるようになるといいな。それまで俺が助けてやるよ。」





俺が一方的に話しかけるだけだから、そう言って歩き出した。




鳳駕は、私に甘いんだ。




もっともっと、素っ気ない言葉をくれればいいのに。





いつも優しい言葉ばっかり。





鳳駕の後ろ姿は、大きくてやっぱりどうやっても追い越せない。





「沙代、帰るぞ。」




そう言って笑う顔も、どこか優しくて。




私はただ頷くことしか出来なかった。





私が歩き出すと、鳳駕が私の手をグイッと引っ張った。





「やっぱり歩くの遅いな。」




さっきまでのことが無かったように話す。





「仕方ないでしょ?足短いし。」





「そこか?」





「え?違うの?」




そう言うと鳳駕が笑った。




「明日休みかー。どっか遊びに行こうかなー。」





「行ってくれば?」





「沙代はどこにも行かねぇーの?」





「まぁ、特には。」




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