「先輩、甘えるってなんですか?」
まさかの出来事に私と実乃里が顔を見合わせる。




周りの人がジロジロと私たちを見る。




前を見れば綺麗な姿勢でステージを歩く鳳駕の姿。




お辞儀の前に前を見ると鳳駕と目が合った。





どうだ、すげーだろと言わんばかりの顔だ。




「この度は、ご入学おめでとうございます。」





真面目な言葉で話す鳳駕に、私は唖然。




初めて見る、高校生の鳳駕。




ここで私はやっと気づいたんだ。




今まで知らなかった、高校の鳳駕に。




その姿は本当に、




みんなの人気者で、憧れで、王子様で。




周りの評判通りの鳳駕。




でも、




私はなんか鳳駕が遠くに行ったような気がした。




ステージとここからの距離が、遠く感じた。




「これから、皆さんとこの学校で過ごせることを楽しみにしています。以上で、在校生からの挨拶にさせていただきます。」




体育館中から拍手が起きる。




かっこいいね。




背が高い。





あっちこっちから女の子のそんな声が聞こえる。




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