いつかまた何処かで。
『ミカちゃんお疲れ様、今日もうあがる?』


店長の原圭太。たしか30歳くらい。
はムカつくけど優しくしてくれていて有難かった。


「あがるー。帰る。」

『わかったよ、僕が送るから。はい、これ今日の分。』


「ありがとう。早く送って。」


戻ったばっかの待機所を出て
原の車に乗り込んだ。
少し離れた所にある1LDKの家。
ベッドとテレビと机と冷蔵庫。
その他にはなにもない部屋だけど
わたしがわたしに戻れる唯一の場所だった。



『ミカちゃん明日はオープンラストでいいの?』


「朝は寝てたいかなー。お昼からにする」

『わかったよ。明後日はオーラスにしてくれる?』

「いいよ。」

マンションの前に車を止めた原は
後部座席のわたしを見て笑う。

『それじゃぁまた明日ね』

「うん。」

『お疲れ様』


返事をせず車を降りる。
エレベーターに乗り5階のボタンを押す。
エレベーターを降り通路をすすみ
角の部屋の鍵を開け玄関に入る。
そこでわたしはやっとミカではなく
鈴木優菜に戻れるのだ。
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