いつかまた何処かで。
鈴木優菜ありきたりな名前で
どこにでも居そうな24の女だ。
身体には刺青を入れ
手首にはリストカットの痕。
化粧を落とせば目の下のクマが目立つ。

「ただいま。」


誰もいない部屋で
小さく呟いた。
机の前に座り化粧を落とし
ベッドに転がる。
自分の未来はなにも見えなかった。
希望もなにもない。
ただ息をしているだけ。

わたしには
自分の存在する意味が
自分の生きる理由が
わからなかった。


幼少期から母親からの虐待を受け
高校中退と同時に家を出た。
母は探すこともなく
きっとどこかで男と暮らしているのだろう。
あの人の様にならないと
誓ったはずなのにわたしの方が
こじらせてしまった今母を羨ましく思う。
母は今もシアワセそうに笑っているのだろう。
< 6 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop