天国からの贈り物 下期

思いがけない再会

本番当日

私たちの出番は最後から2番目で14時から始まる。私たちは早めにきて出店をまわっている。

「いや〜すごい人だね(*^^*)」

翼『鈴、はしゃぎ過ぎだろ(*^^*)』

「あっクレープ!ちょっと買ってくる!」

翼『人の話を聞け!』

陽菜先輩たちも食べたいといったので、一緒にクレープを買いに行った。クレープ屋は行列を作っていて、やっと買えると思ったら柄の悪い男が割り込んできた。

男『バナナチョコ3つ。』

店員『あの…最後尾はあちらなので並んでお待ちください。』

男『は?客の俺に喧嘩売るの気か?』

店員さんは手が震えだした。何でいい年越してんのにルール守れないのか。

「喧嘩じゃなくて常識でしょ!皆んな、この行列をしっかり待ってるんだよ?割り込まれたらいい気分しないよ!」

男『おい、女のくせに生意気聞くじゃねぇよ』

「は?私が生意気だったら、あんたは悪ガキだよ!今時、幼稚園児でも守れるのにね」

陽菜『ちょっと、鈴辞めなよ。』

男は私を殴ろうとして、避けようとしたら私の前に天先輩が男の腕を掴んでねじり技を決めた。

天『女に手をあげるとか、男の恥だな!』

「天先輩。ありがとう。」

天『……。店員さん、警備員さん呼んでくれるか?』

店員さん『えっえっは、はい!』

ん…?何か今無視された気がする…気のせいかな?数分で、警備員が到着し男を連れてった。クレープを買い終えた私たちは、皆んなの場所に戻った。

男『あいつらタダじゃおかねぇ』

皆んなで雑談していると、あっという間に本番前になった。クレープ屋さんの時から天先輩は目も合わせてくれない。私は何か怒らせたのかな…。

司会『ありがとうございました〜。さてさて!残すところあと3組となりました。次は夢音高校の演奏部になります!是非、ご覧ください。』

客k『え?!夢音高校の生徒?』

客a『冗談でしょ?辞めてほしいわ。』

司会が高校の名前を言った途端、お客が騒ぎ出してどんどん席から離れてく。

陽菜『やっぱり、私たちの高校じゃ無理なんだよ…。』

陵『名前だけでビビられるしな(ー ー;)』

「諦めたらここで終わりじゃん!やらないで後悔するよりやって後悔する方が全然いいよ!大丈夫だよ!客が離れてくなら呼び戻せばいいじゃん!私たちの絆のメロディーで(*^^*)」

翼『だな!よっしゃ(*^^*)!行くぞみんな!』

全員『おおおお!』

気合を入れ、スタンバイした。そう、皆んなと練習したことを思い出して楽しく奏でよう。私は一人ひとりの顔をみて、合図を送った。

さぁ、初舞台へ!

♪〜

皆んなのメロディーが一つになってる。皆んなの伸び伸びした演奏に心が熱くなる。

客『何か素敵なメロディー…。』

客a『夢音の生徒でもこんな演奏ができるのね』

私たちは演奏を楽しんでいると、お客さんが席にチラチラと戻ってきた。私は嬉しくなり、寮長さんの指揮を見ながら舞台から降りて、お客さんのそばで演奏をしお客さんも喜んでくれた。演奏後、お客さんからの拍手が響いた。

パチパチッ

全員『「ありがとうございました。」』

ガシャーンッ!!

『てめぇら、さっきはよくも俺に恥かかせてくれたな』

客『きゃあー』

さっきの柄の悪い男がやってきて、会場を荒らしにきた。私はお客さんの前に立った。

「ちょっと!何するんですか!お客さんが怪我しちゃうじゃないですか!」

男『はあ?知らねぇよそんなの!てめぇらが俺を馬鹿にしたのが悪りぃんだよ!』

「馬鹿にしたんじゃない!マナーを教えただけじゃん!あれは自業自得でしょ!それに、関係ない人巻き込まないでよ!この人たちはイベントを楽しみに来てくれたお客さんなんだから!」

男『うるせぇー!お前らやっちまえ!』

っっ!!
私はお客さんを全力で守ろうと手を広げた。すると、天先輩たちもお客さんの前にでた。男は私を目掛けて来たので、殴られるの覚悟して目を瞑った。

天・奏多『七瀬(さん)!!』

翼・陽菜・龍『鈴(ちゃん)!!』

バシンッ!ドン!

痛みを受けないので目を開けると、私の前に黒い帽子をかぶった男の人が立っていた。

『スタッフ!警備員早く呼んで!』

スタッフ『は、はい。』

黒帽の男の人が声をかけるとあっという間に、男は連行されて騒ぎは収まった。司会者が謝罪のアナウンスをしてイベントは再開されようとしていた。

「あ、あの…。ありがとうございました。」

黒帽『お前に敬語は似合わねぇな(*^^*)』

「え…?」

黒帽の人が帽子を外して、私と顔を合わせた。黒帽の人はかっこいい方だと思う…。

黒帽『おいおい、忘れちまったのか?5年も会ってないと忘れられちまうのか?』

「5年前…。…っ!!えんちゃん!???」

『やっと思い出したな。久しぶり鈴(⌒▽⌒)』

えんちゃんは遠藤影丸(えんどうかげまる)といいお兄ちゃんと同い年で、私もよくえんちゃんと遊んでもらったことがある。
えんちゃんはお兄ちゃんと秀ちゃんとは違う高校でお互いの高校は不良高校だった。拳を交しあった後から秀ちゃんたちとえんちゃんは意気投合し仲良くなった。

翼『鈴、知り合いか?』

「うん。お兄ちゃんの友達(⌒▽⌒)」

えんちゃんを紹介しようとした時、司会の人に後でやれと怒られ、ラストの曲を演奏した。

「本日はご迷惑おかけしてすみませんでした。私たちはまだまだ未熟者ですがこれからもよろしくお願いします。」

みんな『本日は演奏を聴いてくださりありがとうございました。』

舞台挨拶終わった私たちは、裏に戻ろうとしたが、えんちゃんがお詫びに最後に一曲だけ演奏させてくれと司会の人にお願いした。司会の人はオッケーをしてくれた。

「えんちゃん?」

遠『鈴、久しぶり弾こうぜ!』

陽菜『いきなり?!流石に…。』

遠藤・鈴『「大丈夫!」』

私とえんちゃんは演奏の準備をした。私はピアノ、遠ちゃんは私のバイオリン。翼たちは私と遠ちゃんの動きをみて唖然としている。

天『本当に大丈夫か?』

「大丈夫だよ!遠ちゃんとなら!」

遠『しっかり聴いてな!俺と鈴の音を!』

「遠ちゃん、曲はあの曲でいいよね?」

天先輩たちは、舞台から降りて観客席に移動し、私は遠ちゃんと目を合わせて演奏を始めた。

♪〜

客d『まぁ〜凄く癒されるわねぇ』

客f『カノンね。凄く上手だわ(*^^*)』

私と遠ちゃんの演奏を聴いてどんどんお客さんが集まってきている。

翼『すげぇ…。』

陵『息ぴったり…。』

陽菜『鈴はピアノもこんなに綺麗に弾くんだね…』

天『……。』

〜♪

演奏を終えた私たちは次の出演者にバトンタッチして、皆んなのところへ向かった。

翼『鈴、凄かったぜ!鈴もピアノ上手いんだな。』

「ありがとう(*^^*)」

遠『鈴は元々ピアノだったからね。秀と一緒に違う楽器で弾きたくて、俺にバイオリンを教わったんだよ。』

翼『そうなんすか。ところで…。』

「忘れてた。遠ちゃんは遠藤影丸(えんどうかげまる)。お兄ちゃんと同い年で、昔はよく遊んでもらってたの。」

陵『昔は…って?』

「秀ちゃんが亡くなった後、お兄ちゃんと喧嘩して遠ちゃんを家に出入りさせるなってお兄ちゃんが指示したせいで、遠ちゃんは入れなくなっちゃったんだよね…。」

遠『まぁ、仕方ねぇよ。俺が悪いんだから。』

奏多『それより、どうしてここにいるんですか?』

遠『俺、来週から夢音高校ってとこに音楽教師することになったから、今、買い物してたら鈴が見えたからついな(*^^*)』

翼『俺らの高校じゃん!』

奏多『そういえば、この間音楽教師1人やめるって職員室で先生が話してました。』

遠ちゃんの紹介が終わった後、ちょうどステージが終わりイベントの結果を待って30分、いよいよ発表。

司会『皆様、お待たせいたしました。今回の舞台グランプリの優勝者は……』

鈴(優勝しますように。)





司会『優勝者はー夢音高校演奏部の皆さんです!!』


全員『え…優勝?』

翼『俺たちが?えっ!?』

司会『優勝者の皆さんは、舞台上に上がってください。』

私は思考停止をしている。そんな私を天先輩は背中を押して舞台上まで連れてきてくれた。トロフィーをもらった私はやっと優勝した実感がでてきて涙が流れた。

司会『優勝して今の気持ちをお聞かせください。』

「今日はご迷惑をたくさんおかけしたのに、こんなに素晴らしい賞をいただけて、本当に嬉しいです。今日はここで演奏できて本当によかったです。ありがとうございました。」

全員『ありがとうございました。』

お客さんから拍手が溢れ出した。私は涙を再び流れた。


秀ちゃん…私はみんなに出会えてよかった。こんなに最高の仲間で優勝できるなんて思わなかった。みんな、ありがとう!
私たちはその後、打ち上げをして解散して天先輩に話があるといっていつもの場所に呼び出した。

天『話ってなんだ?』

鈴『天先輩…。あの…私は』

天『……。』

鈴『私は…天先輩のことが…す…』

天『?』

私が天先輩に思いを告げようとした瞬間…秀ちゃんが目の前で刺された時のことがよみがえった。

゛お前は俺を好きになれ。違う男を思うことでそいつを失うことになる”

「っ!!」

天『おい、どうした?』

「ごめんなさい…。」

天『何に怯えてるんだ?』

「天先輩…ごめんなさい。何でもない…。」

天『何でもないわけないだろ!』

「何でもないよ!天先輩、今後私には近寄らないで!それだけよ!」

天『は?おい!ちょっと待てよっ!』

私は誰も好きになっちゃいけないんだ。

天先輩…私は天先輩が好きです。

でも、私は天先輩を失いたくない。

だからこの思いは閉じこめよう。
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