触れたいのは、あなただけ



夏休み。


当番制の学校の花壇の水やりにやって来た。

体育館のすぐそばにある花壇。

「暑い…」

炎天下の中、広い花壇を一人で水やりをやるには大変だ。


「そこの君」

「!」


背後から肩を叩かれた。

この声、この手の大きさ…


すぐに、男の人だと察知した。


その瞬間、全身に寒気がし目を固く瞑った。


「職員室に行きたいんだが、案内してくれないか?」


「…っ」


話し掛けないで。


「おい、聞いてるのか」


近付かないで。



「きみ…」


触らないで!!!








「案内なら僕がしますよ。行きましょう?」



この声ー…


固く瞑った目をゆっくりと開ける。




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