触れたいのは、あなただけ


けど、顔を上げれるわけでもなくー…

人の気配がなくなったのを感じ、ゆっくりと顔を上げた。


ー…良かった。


「新井」

ビク。


背後から名前を呼ばれ、恐る恐る声がした方を見た。


「今日は人の出入りが激しいんだ。終わるまであそこにいるから、何かあったら呼んで」

10メートル先にいる浜野先生が指さしたのは、花壇の側にあるベンチ。


返事をする前にベンチに座り、背を向けてしまった。



その姿をチラっと見て、早く終わらせようと急いだ。



< 5 / 26 >

この作品をシェア

pagetop