触れたいのは、あなただけ
けど、顔を上げれるわけでもなくー…
人の気配がなくなったのを感じ、ゆっくりと顔を上げた。
ー…良かった。
「新井」
ビク。
背後から名前を呼ばれ、恐る恐る声がした方を見た。
「今日は人の出入りが激しいんだ。終わるまであそこにいるから、何かあったら呼んで」
10メートル先にいる浜野先生が指さしたのは、花壇の側にあるベンチ。
返事をする前にベンチに座り、背を向けてしまった。
その姿をチラっと見て、早く終わらせようと急いだ。