触れたいのは、あなただけ
第2章
夏休みも終わり近づいてきた日。
買い物から帰ると、リビングから大きな物音した。
ガシャーン!!
「お母さん!?」
家にいるだろう母を呼ぶ。
「…その声、倫か?」
ビク。
身体がビクっと跳ね、動けなくなる。
「倫!来ちゃだめよ!!家から出て行きなさい!!!」
母の叫ぶ声が聞こえる。
ドクン、ドクン。
息苦しいー…
「何言ってんだ!??お前は!せっかく父親が会いに来てやったのに!!」
思った通り、この声はお父さんー…
声だけでも恐怖に支配され始める。
「早く!!行きなさい!!」
「!」
「しばらく帰って来ないで!!!」
「…っ」
母親の必死な声に押され、家を飛び出した。