由良先輩はふしだら

「……美子ってさ」


「はいっ」


先輩に名前を呼ばれるだけで、胸がキュンってしちゃうんだ。



「……本当に俺のこと好きなの？」


「え！？なんでですか！伝わってないですか！好きです！大好きですよ！」


こんなに好きなのに、先輩に伝わってない？
そんなのおかしい。
おにぎり、もっと大きい方が良かった？


先輩のこと誰よりも好きだからって、小林先生よりも私のことを見てほしい、なんて。そんなのはおこがましいから言えないのはわかってるけど。


ただ、先輩のそばにいたい。
それぐらい、大好きだよ。


「いや、だって……普通はさ、好きな人がほかの人見てたら嫌でしょ。代わりで触れられたりとか、そういうの、ムカつかない？嫌いにならないの？俺のこと」


今まで見てきた、堂々としててキラキラしてた先輩とは全然違う。


目の前の由良先輩は、目を泳がせていて困ったように何度も首に手を回したり肩を持ったり、落ち着きがない。