由良先輩はふしだら
「嫌いになるわけないです!!むしろ、もっともっと好きです!この短い期間だけでも、知らなかった先輩の素敵な面をたくさん知ることができたし……」
自分で言ってて少し照れるけど、でも本当の気持ちだ。
「ほんと……変わってるね。なんていうか、美子ちゃんって欲がない」
先輩は、踊り場の手すり壁に背中を預けながらそう呟いた。
「欲?」
「うん。もっと触れてほしいとか、好きって言って欲しいとか、俺にして欲しいこと、何も言わないなぁって。好きな人にはみんなが求めるものだと。だから調子狂うっていうか、今の俺を無条件に好きだって言ってくれて、本当に何も求めない美子ちゃんが不思議でたまらない」
「え!?私がなにかを求めたら、由良先輩、答えてくれるんですか?」
「まぁ、俺の出来る範囲なら……」
先輩にそう言われて、自分でもわかるぐらい、きっと目がキラキラした。
先輩に求めるもの、そんなもの1つしかなくて。