由良先輩はふしだら
「遊園地、一緒に行ってくれませんか?!」
「え、遊園地……」
「だ、ダメですか?!」
急いで先輩に前のめりになって聞き返す。
「いや、ダメじゃないけど、そんなことでいいの?」
「そんなことって!先輩にとってはそんなことかもしれないけど、私にとったら、大好きな人との初デートですよ!」
「……ふっ、本当に」
先輩が私の顔を見て吹き出す。
「どこまでもまっすぐすぎるよ。俺でよかったら是非、デートしよ、美子」
由良先輩がそう言って、私に今日一番の優しい笑顔を向けてくれた。
大好きな人には、心から楽しんで欲しい。
笑って欲しい。
私の最大の欲はそれだけだ。
私が、先輩の悲しみとか不安の100分の1でも、取り除けたら。
私が先輩の隣にいる理由に少しはなれるから。