由良先輩はふしだら


「遊園地、一緒に行ってくれませんか?!」


「え、遊園地……」


「だ、ダメですか?!」


急いで先輩に前のめりになって聞き返す。


「いや、ダメじゃないけど、そんなことでいいの?」


「そんなことって!先輩にとってはそんなことかもしれないけど、私にとったら、大好きな人との初デートですよ!」



「……ふっ、本当に」



先輩が私の顔を見て吹き出す。



「どこまでもまっすぐすぎるよ。俺でよかったら是非、デートしよ、美子」


由良先輩がそう言って、私に今日一番の優しい笑顔を向けてくれた。


大好きな人には、心から楽しんで欲しい。
笑って欲しい。


私の最大の欲はそれだけだ。


私が、先輩の悲しみとか不安の100分の1でも、取り除けたら。


私が先輩の隣にいる理由に少しはなれるから。


< 114 / 300 >

この作品をシェア

pagetop