由良先輩はふしだら




ジェットコースターの列に並んで20分。
そろそろ私たちの順番が回ってくる。


「きゃあああああ!!!」


そんな声が、遠くから聞こえてきて。
途端に心臓がバクバクもする。
由良先輩が隣にいるから、と言うのとは少し違くて。


「後ろから落ちるんだって」


「……っ!」


列のどこからかそんな声がして、再び心臓がバクンと跳ねて、足がすくむ。



実は……私……。



『では、ゲートが開きましたら降りる方に続いてご搭乗願います』


そんな係員のアナウンスが聞こえだす。


大丈夫、こんなの、隣に大好きな先輩がいればへっちゃらだ。


よし、と気合を入れて、先輩と隣同士に乗り込む。


セーフティーバーを下げて。


「……美子?」


「はっ、」


隣から声がして振り向くと、心配そうに先輩がこちらを見ている。


「もしかして、美子、ジェットコースター……」


「えっ、へへ、めっちゃ怖いです!」


「うっそ、本当に?!じゃあなんでわざわざ一番怖いやつ一番最初に乗ろうって!」


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