由良先輩はふしだら
*
ジェットコースターの列に並んで20分。
そろそろ私たちの順番が回ってくる。
「きゃあああああ!!!」
そんな声が、遠くから聞こえてきて。
途端に心臓がバクバクもする。
由良先輩が隣にいるから、と言うのとは少し違くて。
「後ろから落ちるんだって」
「……っ!」
列のどこからかそんな声がして、再び心臓がバクンと跳ねて、足がすくむ。
実は……私……。
『では、ゲートが開きましたら降りる方に続いてご搭乗願います』
そんな係員のアナウンスが聞こえだす。
大丈夫、こんなの、隣に大好きな先輩がいればへっちゃらだ。
よし、と気合を入れて、先輩と隣同士に乗り込む。
セーフティーバーを下げて。
「……美子?」
「はっ、」
隣から声がして振り向くと、心配そうに先輩がこちらを見ている。
「もしかして、美子、ジェットコースター……」
「えっ、へへ、めっちゃ怖いです!」
「うっそ、本当に?!じゃあなんでわざわざ一番怖いやつ一番最初に乗ろうって!」