由良先輩はふしだら


「だってテンション上げるなら外せないってネットに……!」


『安全の為カメラや携帯電話のご使用はお止め下さい』


アナウンスがスムーズに流れて、どんどんとスタートの合図が近づいていく。


「苦手なら無理して乗らなくてもいいのに!」


「大丈夫です!先輩が隣にいるドキドキの方が今は一番なんで!大丈夫です!」


『それではみなさん!いってらっしゃ〜い!』


そんなアナウンスと同時に、ジェットコースターがカタカタカタと後ろへと進む。


「ううっ、」


情けない。
先輩のためだと思って、この気持ちがあれば楽勝だって、舐めていた。


栞と来た時は、ここは唯一避けたアトラクション。


「大丈夫だから、美子」


「へっ」


ふと、暖かい手に右手を握られた。


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