由良先輩はふしだら


私の目を覆った大きな角ばった手に触れる。


「ピンポーン」


先輩はそう言うけど私の目元から手を退けてくれない。


なんで日高先輩が来るんだろうか。
私は今から、由良先輩と素敵な放課後ライフを送るために彼を待っているんだから。


っていうか……日高先輩のクラスが帰りのHR終わったんなら、由良先輩だって、同じクラスだし。


「あの、由良先輩は?」


私がそう聞いたタイミングで、日高先輩が目隠しから解放してくれる。


クルッと身体を後ろに向けてから日高先輩と向き合う。


「広真は今日予定できたみたいで。頼まれて俺が代わりに美子ちゃんのこと送ることに」


「えぇ……そうなんですか……」


そんな……がっくし。


「あからさまにへこみすぎ。最近毎日広真と一緒なんだからたまにはいいでしょ?」


「あぁ……まぁ、はぁ……だって由良先輩、そんな連絡少しも」


「急だったからね、だから俺にお願いしたんでしょ。ほら、行くよ」


日高先輩はそう言って私の髪の毛をくしゃくしゃっと撫でてから自分の学年の靴箱へと向かった。


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