由良先輩はふしだら


「いやもう心変わりなんて全然。あの時よりもっともーっと先輩を好きになっているので」


「ふーん」


それだけ相槌を打った日高先輩が、少し間をおいて再び口を開く。


「上履き」


「え?」


「美子ちゃんの上履き、あれ見つけて戻したの、俺なんだけどな〜」


「えっ?!そ、そうなんですか?!」


そういえば、なくなってたはずの上履きがちゃんと靴箱に戻ってたっけ。


誰が見つけて戻してくれたのか疑問だったけど、そうか……日高先輩が……。


「どうもありがとうございま────」


「ちょっと好きになった?俺のこと」


「はっ、」


口をキュッと締めて笑う日高先輩。
どう見ても目が笑っていない。


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