由良先輩はふしだら
「美子ちゃんの広真への気持ちが本気だってちゃんとわかったから、美子ちゃんの勝ち」
「……へっ、勝ち?」
「うん。すごいね〜本当になんの見返りも求めないであいつのこと笑顔にしたいだなんて。俺にはまだよくわからないよ。……けど」
日高先輩はそう言って少しだけ顔を俯かせると、再び顔を上げて私の瞳をとらえた。
「美子ちゃんに変えてほしいなって思うよ、広真の小さい世界」
「えっ、私……」
全然予想もしていなかった先輩のセリフに、戸惑いを隠せない。
私が、由良先輩の世界を変える……。
「あいつの心の中こじ開けてよ」
日高先輩はなぜか満足そうに口角を上げてそういうと、テクテクと歩きだして校門を出た。
私も慌ててそのあとをついていく。