由良先輩はふしだら
ひとけの少なくなった路地で立ち止まる。
「由良先輩の先生への気持ちは執着なんかじゃないです!愛ですよ!由良先輩は振られるのが怖かったんじゃない。自分が想いを伝えることで、変わってしまういろんなことを怖がってたんです。小林先生の夢だって守りたかったから。そんなの当然です。私や日高先輩が知るわけないんです。2人の今まで過ごしてきた時間とか温度とか。あの2人にしかわからないんです!それなのに執着なんて……まるで、先輩の先生への想いが嘘みたいにっ、」
「……ほんっと想像を超えるほどのお人好しだねぇ、美子ちゃんって」
「なんとでも言ってください」
そう言いながらポタポタと頬を伝う暖かいものを感じて自分が泣いていることに気付く。