由良先輩はふしだら
「外で泣かないでよね。俺がいじめてるみたいじゃん」
「ううっ、だって……っ、」
日高先輩は、私の顔をぐいっと持ち上げると親指で少しだけ強めに私の涙を拭った。
こんなめんどくせーことさせんな、なんて言いたげな拭い方。
「美子ちゃんはさ、広真の小林を思う気持ちは愛だって言ったけど、美子ちゃんのその気持ちだって、全力で突進してくる愛なんだろうね、きっと」
「えっ」
「自分のこと好きにならない人のことをいつまでも思ってる広真や美子ちゃんの気持ち、心底わからないけどさ。すごい綺麗なんだろうなって思うし、ちゃんと報われてほしい。あ、側からみた俺の意見ね」
優しいのか意地悪なのか冷たい人なのか、日高先輩はよくわからない人だけれど。
でも……。
「大好きなんですね、由良先輩のこと」
「なにそれきもい」
笑顔でサラッとそういう日高先輩に少しゾクっとする。
「……でもまぁ、だからイライラするんだろうね。執着だって思いたくなる。そうすれば少しは広真が楽になれると思ったから」