由良先輩はふしだら
日高先輩の酷いと思った言葉も、ちゃんと由良先輩を想ってのセリフだった。
それがなんだか嬉しくなると同時に反省する。
「すみません、なんか感情高ぶっちゃって生意気なこと言って……」
「いや、俺にとってもいい刺激になったから気にしないで」
日高先輩は「道こっちであってる?」と聞いてから、再び歩き出した。
「あの、日高先輩と由良先輩が出会ったきっかけって?」
私の歩幅に合わせて歩いてくれる日高先輩と並びながら聞いてみる。
「あぁ……入学して1ヶ月ぐらい経った時だったかな。それまではほんと、嫌いだったよ。ありとあらゆる女子に愛想振りまいてて全部がいちいち嘘っぽくて嫌いだなぁって」
「はあ……」
『嫌いだった』なんてはっきりいうなんて少しびっくり。
「でも、広真が保健室から出てきた時にばったり会ってさ。あの時のあいつの顔ったらひどくって。それからなんとなくあいつのこと見てたら、事情把握したっていうか」