由良先輩はふしだら


「ごめんね、広真じゃなくて」


そう言いながら、私に持っていたコンビニの袋を差し出した日高先輩。


「わ、わざわざありがとうございます。……別に由良先輩かもなんて思って……」


「顔に書いてあるよ。それで熱出したの?」


「うっ……」


日高先輩はなんでもお見通しってわけか。


先輩から受け取った袋の中を確認すれば、アイスが数個入っていたので、3人で食べる流れになり、2人はローテーブル越しに私と少し距離をとってアイスを食べ始めた。


「あの、2人はなんで一緒に?」


栞と日高先輩が揃って私の家にやってくるなんてもちろんはじめてのことだし。


「帰りにたまたま靴箱で。美子ちゃんから広真に振られたってメッセージ来たんだけどって話したら、実はそのせいで熱が出たんだってこと栞ちゃんから聞いて。見舞い行くところだって言うから俺も付いてきた」


「あ、なるほど。……いやぁ、お恥ずかしいです。振られただけで熱出すなんて。私、今まで高熱なんて出たことないんですよ?」

< 182 / 300 >

この作品をシェア

pagetop