由良先輩はふしだら


栞と久しぶりの放課後デートかぁ〜。
楽しみだなぁ。
そうだよね、最近、私、由良先輩と帰ってばかりだったし。


由良先輩……。


思い出さないようにしてるけど、そんなもの全然無理で。


校舎を見たって、帰り道を歩いたって、ふと先輩ばっかり思い出しちゃうんだ。


って言うか、全然会えないもんなんだよなぁ。


一年棟と三年棟が離れているのはわかっていることだけど、付き合う前はもっと頻繁に先輩を見られていたような。


「未練タラタラだな〜」


っ?!


隣から声がして、ハッとすると、身体をこちらに向けて頬杖をついている勝地が私を見ていた。


「な、何よ」


「作り笑いヘタだよ、お前」


「べ、別に作ってなんか」


相変わらずムカつくやつだ。
勝ち誇ったように、私のこと知ってるみたいに。


「だから言っただろ、付き合うだけ無駄だって」


「っ、無駄なんてっ!」


思わず立ち上がる。


ガラッ


「おーどーした小柴ーチャイムなったぞー」


教室にタイミング悪く入ってきた先生に、注意されて、私は渋々席に着いた。


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