由良先輩はふしだら





「いや〜!とってもスッキリした!部活かってぐらいカロリー消化してるよ絶対!」


「いや、美子、マラカス振りながら踊ってんだもん、そりゃ疲れる!」


3時間ほど、ぶっ通しで歌い続けて、ゲラゲラ笑いながらカラオケ店を出た頃には、空が茜色になっていた。


「今日は本当にありがとう栞!」


「いいの、そういうのは!美子が笑わせるから私の方が絶対楽しかったし」


2人で並んで歩きながら繁華街を抜けて、栞と別れる道まであっという間についてしまった。


楽しい時間は本当にあっという間。


綺麗な空は寂しさを倍にさせちゃう。


「私も久しぶりにとっても楽しかった!」


「良かった。……じゃあ、月曜日、また学校でね」


「うん!今度カラオケ行く時は栞がマラカス担当ね?」


「なにそれ……」


そう言ってフフッと笑った栞が、再び口を開く。


「あのさ、美子、」


「ん?」


「……ううん、やっぱりなんでもない!寄り道しないで帰れよ〜」


栞はそう言って私の頭をくしゃくしゃっと撫でると、手を軽く振ってから背中を向けて歩きました。

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