由良先輩はふしだら


さっきの栞、なにを言いかけたんだろうか。


そんなことを考えながら、帰路に就く。


交差点を渡って、何度か角を曲がりだんだんと道路の幅が細くなって。


カラオケ店から約20分。


先輩と放課後デートした公園がうっすら見えてくる。懐かしいなぁ、なんてまた思い出に浸って。


たくさん栞に励ましてもらったのに、勝地には作り笑いが下手くそなんて言われる始末で、本当ダメだ。


由良先輩の顔を全く見なくなって2週間が経とうとしていて。


いや、厳密には、遊園地デートの時のプリクラを毎日眺めているから、先輩の顔を全く見てないって言うのは嘘になるんだけど。


でもやっぱり動いてる先輩が一番……。


「君、小柴 美子ちゃん?」


っ?!


不意に後ろから声をかけられて振り返る。

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