由良先輩はふしだら
そこには、好青年なんて言葉がぴったりな男の人たちが2人、立っていた。
多分、大学生ぐらい。
あれ、今この人たち、私の名前呼んだよね?
まったく見覚えのない人たちから声をかけられて、少し緊張する。
「由良広真の彼女って言う……」
「えっ、あっ、いや……もう、彼女じゃ、」
なんでこの人たちが由良先輩のことを知っているのか、どうして私と由良先輩が付き合っていたのを知っているのか、疑問がたくさんありすぎて一気にパニックになる。
「詳しいことは後でいいからさ、とにかく一緒に来て欲しいんだ。由良が今大変で……」
「えっ、由良先輩に何かあったんですか?」
バクンと大きく心臓が鳴る。
手にはじわっと汗が滲んで。
「事故にあって……」
「えっ、事故……」
「俺たちサッカー部のOBで今もあいつとはよく連絡とっててさ。あいつが事故った時たまたま電話してて。まじやばいらしいから、とにかく、一緒に来て!」
1人が私の手を掴んだ瞬間、すぐそばにミニバンが止まった。