由良先輩はふしだら
由良先輩の手に包み込まれている自分の手が震えてるのがわかる。
今やっと、身体が怖かったって実感してサインを出しているんだ。
「あっ……ごめん、今は触られたくない、よね」
先輩がそう言って手を引っ込めようとする。
「違いますっ、違う。先輩だけがいいんです」
「えっ……」
「女の子として見られていないことも重いって思われてるのも分かってます。でも、私が触れられたいって思うのは先輩だけだから……」
そう言いながら、先輩の手を握る。
「あんな酷いこと言ったのに、美子、俺のこと嫌わないの?」
「えっ、嫌うわけないじゃないですか!意味わかんないです!私の気持ちそんな軽いもんじゃないですからっ!確かに、傷つかなかったと言ったら嘘になるけれど、先輩と過ごしてきた時間で一番多いのは、幸せだって思える時間ばかりですよ」
先輩の目をまっすぐ見て。
そうだ。
私の先輩への想いは、そんな簡単に終わらせられるものじゃなくなっているから。
「やっぱ、すごいな美子は」
由良先輩はそう言って、優しく私の頭を撫でた。