由良先輩はふしだら





由良先輩は、私のことを家まで送ってくれると言ってくれて。


久しぶりに、先輩と放課後一緒に歩いていた道を並んで歩いた。


少しの間、一緒にいられなくなっただけなのに、もう随分前のことみたいに思えてくるから不思議だ。


薄暗い道を先輩と歩くのはもちろん初めてで、なんだか初めて一緒に帰った時よりも妙にドキドキする。


手は自然と繋がれていて、この時間が終わってほしくないと思う。今日が終わったらそれこそ先輩と過ごすのが完全に最後になっちゃいそうで。


週が明ければ、また、先輩との関係が何もない日々が始まる。


先輩がもし、私への嫌がらせが原因で私を振ったんだとしても、それはきっと先輩が優しいからで。


もし付き合い続けることができてたとしても、先輩が私を好きになることはきっとない。


「ほんと、美子が無事でよかった」


由良先輩が繋いでいた手を離してそう言うので顔をあげる。


見慣れた、自宅の門の前。


あっという間についてしまった。






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