由良先輩はふしだら
「由良先輩っ、」
小さく名前を呼べば、「ん?」と優しく聞き返してくれる先輩とグッと距離を縮めて。
少し驚いた表情をした先輩の、緩く結ばれたネクタイを引っ張って背伸びをしてから。
「……っ、」
大好きな彼の唇に、自分の唇を重ねた。
「私、先輩にしか絶対こういうことしないですから!」
周りが暗くてよかった。
今の私は、人に見せられないぐらい真っ赤な顔をしている。
こんな大胆なことをする自分がすごく恥ずかしくて。でも、自分の今の気持ちを最大限伝える方法なわて、こんなことしか思いつかなくて。
「大好きです、先輩!」
そう大きく声を出してから、私は顔を隠すように走って家へと帰った。