由良先輩はふしだら
「別にって顔じゃないだろ。もしかして……金曜、あの後、美子ちゃんと何かあった?」
「……っ、」
『美子』その名前を聞いて、ドキンと心臓が鳴った。さらに顔が熱くなる。
うわ、なんだよこれ。
「広真お前……」
「別に……何もねーよ」
「そんな顔で否定されてもやらしい想像しかできないんですけど」
「朝から笑顔でそういうこと言うな」
「うっわ、まじで見てるこっちが恥ずかしくなるレベルに真っ」
「あー、もううるさい、ちょっと来いっ」
まだ、朝礼が始まるまで15分はある。
俺は、席から立ち上がって宙の腕を掴まえて、そのまま教室を飛び出した。
あの日から、なんだか寝つきが悪くて、目が覚めて思い出すのはなぜか美子にキスされたのと、その感触で。
これって……。