由良先輩はふしだら
「美子すごいね、初めて会った時からそうだけど。そういうことサラッと言って」
「えっ、だって……」
「そういうの、」
先輩はそう言いかけてシャーペンを握っていない方の私の手を包み込んだ。
ドクン、と心臓が鳴る。
「今の俺にはかなりヤバイから、気をつけて」
触れていた先輩の指が動いて、私の手の甲を優しく撫でる。
少しくすぐったくて、身体がほんの少しビクッとした。
「由良……先輩?」
「止められなくなるよ、ってこと」
少し前まで、私がなにを言おうが、そんなこと気にしないで平気でキスしてきたり抱きしめたりしてきたのに。
「……っ、いいじゃないですか、私たち、付き合ってるんですよね、もう、その、好き同士ですよね?」
自分で言いながら恥ずかしくて顔が熱くなる。
まっすぐ告白してきた先輩の目も、重ねた唇の温度も、何一つよく覚えている。
「……だから余計、危ないって言ってんでしょ。すげー好きで、大事にしたいから、」
先輩は、そう言って顔を隠すように机に突っ伏してから、私の手に触れてる手をさらにギュッとした。