由良先輩はふしだら


ブチュ


俯いていると、不意に頬があげられて、先輩の少し冷たい手に挟まれていた。


「こっちの気も知らないで……俺だって美子のこと連れて行きたい。一緒に行きたいよ。っていうか美子こそ気をつけなよね」


「えっ、わ、私?」


「近藤さんの情報によると、美子のクラスに美子のこと気になってる男がいるっていうじゃん」


え?なんだそのデタラメ。


「そんなのいないよ!いるわけないでしょ!私はずーっと先輩しか見てないんですから!」


「……だから他の人のそういう気持ちに気付いてないんでしょ。こんなこと言うとすげー自惚れてるみたいで嫌だけど」


え?いやいやいや。
本当にいるわけないんだよ。
だって、今まで告白なんて、先輩に言われたあの日が人生初めてだし。


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