由良先輩はふしだら
「俺は小柴と違って常に先を見て動いてるタイプだから、こんなことで落ち込んだりしねーよ。まだ1年だし、これから嫌ってほど試合出るつもり。みんな大げさなんだよ。周りがあんまり騒いでるとこっちが冷静になるっていうか……」
うわぁ、やっぱりデキるやつは違うぜ……。
心配してちょっと損した。
「そっか……いや、そうだよね!今回は残念だったけど、全然これからだし。勝地がサッカー頑張ってたのもずっと私見てたし!今度出るときの試合、絶対見に行く!」
「はぁ?お前、広真先輩しか見てなかったんじゃねーのかよ」
またまた不機嫌な声でそう言った勝地は、バームクーヘンの袋を開けて、バクッと食べた。
「そうだけど、勝地もよく視界にちらついてたし」
「なんだよその邪魔だったみたいな言い方は」
「誰もそんなこと言ってないよ」
「言ってるように聞こえるんだよ、アホ」
勝地はそう言って、私の頭を軽く小突く。