由良先輩はふしだら


目の前にいる勝地が違う人みたいで、不覚にもドキドキしている。


こんな勝地知らない。


いつもきちんとセットされてる髪の毛は、今日はぺたんと降りていて、そのせいで前髪で目が時折隠れて、いつもの彼よりも、大人っぽく見せる。


「彼氏が修学旅行中に、平気でほかの男の家に上がりこむとか、どういう神経してんの」


「男って……勝地は……」


男とか女とか、そういうことじゃなくて。
私と勝地は、ただのクラスメイトじゃん。
くだらないことで言い合って。
何だかんだいつも私が負けちゃって。
そういう関係だ。


「俺だって、男だよ。わざわざ心配して家に来られたりしたら、どうなるか」


勝地の指が私の髪の毛に触れて、頬を撫でる。


「……ふっ、」


「へっ、なに笑ってんの、」


突然、私から手を離して笑い出した勝地に、起き上がってそう聞く。


足だけじゃなくて、頭も怪我してるんじゃないかと思うぐらい、今日の勝地はおかしい。


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